無理なく脂肪燃焼Fat burning with MCT
脂肪燃焼回路のカギ「ケトン体」
ケトン体は脂肪から作られ、
エネルギーを作るミトコンドリアを活性
「ケトン体」とは「脂肪燃焼回路」のエネルギー源で、体内の脂肪を材料に肝臓で作られます。私たちの頭や身体は、普段はブドウ糖をエネルギー源とする「糖燃焼回路」をメインに使っていますが、糖質の摂取が多い状態では、ケトン体をスムーズに作らないといわれています。糖質の摂取を抑えることで、体内の蓄積脂肪からケトン体が作られるようになり、脂肪燃焼回路も働くようになります。ケトン体が増えてくると、エネルギーを作るミトコンドリアが直接活性されて、脂肪燃焼できる身体に変わっていきます。
1920年代から治療食として活躍。
近年色々な健康効果が明らかに
体内でケトン体が作られるのを促す食事法は、もともとは治療食として1921年に医療現場で開発されました。現在もてんかんの発作を抑えるための食事として世界で活用されており、日本でも2016年に保険適応食として認可されています。2016年には日本の国立精神・神経医療研究センターの共同研究グループが、「MCTを含むケトン食の摂取」で認知症でない高齢者の認知機能が向上することを世界で初めて明らかにしました。また日本の研究者によって、妊娠中で母体に胎児がいる環境で、胎盤にもケトン体が多く存在することが確認され、「胎盤、胎児、新生児のケトン体が高値である」という論文が発表されています。
こうしたいくつもの研究などから、近年ケトン体に関する色々な健康効果が明らかになってきています。
ケトン体は毒性のない物質
今、アメリカやヨーロッパでケトン体を増やして体脂肪を減らそうという「ケトジェニックダイエット」が流行中です。そのダイエットでよく話題になるのがケトアシドーシス。血中にケトン体が過剰になると起こります。ただ、その最も一般的な原因は、1型糖尿病におけるインスリンの欠乏です。インスリンシステムが正常に働いていれば、ケトジェニックダイエット(ケトン食)でケトアシドーシスになることはありません。ケトン体に毒性はなく、エネルギー源になる安全な物質といわれています。
コラム
昔は人類も「脂肪燃焼体質」だった!?
約20万年前に誕生し、哺乳類を捕獲して肉を主食としていたホモ・サピエンスは、ケトン体を中心とした脂肪燃焼回路がよく働く体質であったといわれています。ケトン体濃度は現代人の数十倍であったと推測されており、アフリカから地球全体に広がった人類の大移動に、脂肪燃焼回路が寄与したのかもしれません。
また、鳥は生まれてから死ぬまでずっとケトン体をエネルギー源としているケトン体質(脂肪燃焼回路体質)で、驚異的な運動能力を持ち合わせています。渡り鳥の持久力などがその良い例といえるでしょう。