オメガ3分科会

注目オイルの原材料 「アマニ」「えごま」とは

「アマニ」「えごま」とはイメージ

古くから食されていた「アマニ」「えごま」 

人類が初めて栽培した「アマニ」 英名はフラックスシード(Flaxseed)

アマニ油の原料・アマニ(亜麻仁)は、アマ(亜麻)という一年草の種子(仁)のことで、英名はフラックスシードです。原産地はコーカサスから中近東地域とも、ヨーロッパの地中海地方の自生植物ともいわれています。

人間とは長い付き合いの植物で、なんと石器時代にアマの繊維と種子(アマニ)を利用していた痕跡がスイス湖上生活人の遺跡から見つかっています。また、アマニは人類が初めて栽培した植物の種子の1つで、紀元前5000年代にはエジプトで栽培されていました。神官の衣服やミイラを包む布は、アマの茎から作った繊維が使われていたのです。

日本には、アマニ油を採る目的で、17世紀末に中国から入ってきました。

アマニの原作地:中近東地域〜ヨーロッパの地中海地方
アマニの原作地:中近東地域〜ヨーロッパの地中海地方
アマニの花と種イメージ
夏に1.5㎝程度の花を咲かせる

日本人も縄文時代から食べていた「えごま」 青じそに似ている

えごま油は、えごまの種子を絞って作る油です。シソ科の一年草で、古代から、食用、薬用または油用として東アジアを中心に栽培されてきました。葉の見た目は青じそに似ていますが、より丸く、硬めです。

日本でも縄文時代前期から各地で栽培して、食していたといわれているえごま。ほとんど品種改良されることなく、南は中国・四国地方から北は東北地方までの各産地に長きにわたって受け継がれてきた在来種があります。種子は、粒の色で灰白(白種)、灰黒(黒種)、茶褐とありますが、いずれも脂質の含量は6割前後でほぼ同じです。しかし、品種や収穫、乾燥方法などによって、搾油率には差が出てきます。

アマニの花と種子イメージ
青じそよりも硬い
えごまの花穂と種子イメージ
花穂(左)と種子(右)

「アマニ」と「えごま」の種子は栄養が豊富

「アマニ」はスーパーフード歴1000年超! 9世紀西ヨーロッパでは摂取を法令化

スーパーフードと呼ばれ、健康に気を使う人たちの間で人気のアマニ(種子)には、必須脂肪酸・オメガ3が豊富です。アマニの健康効果は、すでに9世紀には注目されていました。フランク王国のカール大帝はアマニの健康価値を認めて、「臣民はアマニを摂るべし」とアマの栽培と備蓄を法令化したほどです。すでにこの頃には、アマニ油を食していたといいます。

アマ栽培は、中世および近世にはヨーロッパ全域に広まり、北米には17世紀に伝わりました。寒冷地での栽培が適しており、現在では、世界のアマニ生産の1位がロシア、2位がカザフスタン、3位をカナダが占めています。

日本でアマニといえば油として主にサラダなどにかけて食べますが、欧米では油のほかにも種子そのものをトーストにのせたり、スムージーに混ぜるなどして食べます。ドイツでのアマニ消費量は、日本人のゴマ消費量に匹敵する、年間1人約1㎏です。

2022年アマニの生産量ランキング5位

2022年アマニの生産量ランキング5位
出典:GLOBAL NOTEより作成

寿命を10年延ばす?!「えごま」 医食同源をキーワードに特産化が進む

日本で、えごまは別名を「じゅうねん」といいます。その由来は、えごまを食べると10年長生きするという言い伝えです。えごまの種子に健康維持や生活習慣病予防に役立つ必須脂肪酸・オメガ3が非常に多く含まれていることがわかってきたのは近年になってからですが、昔の人も健康効果を体験的に知っていたということでしょう。日本では長きにわたって、主にえごまの種子を食してきました。東北地方の郷土料理にもなっている、すりつぶした種子を味噌等と混ぜたえごま味噌は有名で、おにぎりにつけたりなどさまざまな料理に活用されています。

また、韓国ではえごま油とえごまの葉は、どこの家の食卓にものぼるおなじみの食材です。葉にはオメガ3は含まれないものの、β-カロテンが豊富で、韓国ではえごまの葉をキムチにしたり、焼肉と一緒に食べたりします。

「しんごろう」イメージ
「しんごろう」つぶして丸めたご飯にえごま味噌を塗って
焼いた福島県の郷土料理
えごまキムチイメージ
えごまキムチ

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