オメガ3分科会

必須脂肪酸オメガ3の役割と効果

必須脂肪酸 オメガ3の役割と効果イメージ

必須脂肪酸「オメガ3」って何だろう?

オメガ3は「魚油」から注目されるように 動脈硬化予防につながる

オメガ3には、主に植物由来の「α‐リノレン酸」と青魚に多く含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」「DNA(ドコサヘキサエン酸)」の3種類あります。

必須脂肪酸 オメガ3(n-3)系 脂肪酸
オメガ3が初めて注目されるようになったのは1970年代のこと。北極圏に住む先住民族・イヌイットに動脈硬化を原因とする心筋梗塞での死亡率が非常に少なく、デンマーク人の10%以下という疫学調査の結果からです。当時のイヌイットの食生活は野菜をほとんど摂らず、アザラシなどの脂身や魚を食べていました。1日のEPA・DHA摂取量は日本人の10倍以上にもなり、血中EPAの割合が高かったのです。オメガ3が動脈硬化を予防するメカニズムには、細胞膜を柔軟にするオメガ3の作用が関わっていると考えられています。
オメガ3系脂肪酸 含有量TOP5
オメガ3系脂肪酸 含有量TOP5(図)
α‐リノレン酸、EPA、DHAの特徴
α‐リノレン酸、EPA、DHAの特徴(図)

オメガ3が秘めるさまざまな健康効果 α-リノレン酸はEPA・DHAの材料にもなる

オメガ3は体内で合成されない必須脂肪酸なので、食品からの摂取が不可欠です。ただEPA・DHAは、α-リノレン酸を材料に肝臓で作ることができます。EPA・DHAは摂取後すぐに分解・排出されるため頻繁に摂る必要がありますが、魚を食べる量が減っている今、十分な摂取は容易ではありません。一方、α-リノレン酸はアマニやえごまの種子やその油から簡単に摂れ、EPA・DHAに変換もされます。継続的なオメガ3摂取には、α-リノレン酸からが望ましいといえそうです。

オメガ3の働き

オメガ3系脂肪酸には、血管の柔軟性を高めたり、中性脂肪を減らしたり、さまざまな健康効果が確認されています。

オメガ3の働き(図)

健康管理に役立つ「オメガ3」の働き(1)細胞を整える

「オメガ3」が細胞膜の材料になる 細胞膜の柔軟性が大事

体を構成する細胞の一つ一つが細胞膜に包まれています。脂肪酸は細胞膜の大切な構成要素ですが、オメガ3もその一つ。オメガ3が適度に含まれることで、細胞膜の柔軟性が保たれ、細胞が機能的に働きます。

細胞膜が柔軟であることの重要性

細胞膜は、細胞をただ包んでいるだけのものではありません。①栄養素や酸素の細胞内への取り込み、②細胞内の老廃物や有害物質を排出、③ホルモンの生成・分泌の調整、④イオン濃度の調整、⑤細胞間の情報伝達 といった重要な働きをしています。 

細胞膜が柔軟であれば、細胞内外のやり取りがうまくいき、細胞はしっかりと機能を果たします。しかし、細胞膜が硬くなると細胞内の栄養不足や老廃物の蓄積を招き、細胞は本来の働きができなくなって、内臓の衰えなど体に不調が現れるようになります。

細胞/細胞膜(図)

「オメガ3」の分子構造が細胞膜の流動性をキープ 特有の分子構造が密着を防ぐ

細胞膜は、主にリン酸(頭)と脂肪酸(2本の尾)がくっついたリン脂質が、脂肪酸を細胞膜の内側にした二重の層(脂質二重層)で成り立っています。リン脂質同士が比較的ゆるやかにつながることで、細胞膜の柔軟性(流動性)を保つことができます。

リン脂質の構造

リン脂質の構造
細胞膜の柔らかさを保つカギを握るのが、オメガ3の曲がりくねった分子構造です。隣の分子と接する部分が狭くなって、摩擦が小さいため、密着せずに細胞膜に柔軟性が生まれます。細胞膜が柔らかいと、栄養の取り込みや老廃物の排出がスムーズです。一方、飽和脂肪酸のように脂肪酸の分子構造がまっすぐだと、隣の分子と接する部分が広くなり、摩擦が大きくなって強く密着し、細胞膜が硬くなります。硬い細胞膜では細胞はうまく機能してくれません。
オメガ3の分子構造

健康管理に役立つ「オメガ3」の働き(2)カラダのめぐりを整える

血液の循環を良くする「オメガ3」 ここにも細胞膜の柔軟性が関係している!

酸素や栄養を体のすみずみまで届けたり、老廃物を排出したり、ホルモンの運搬や体温調節など、非常にたくさんの役割を担っている血管と血液。血管が硬くなったり血液がドロドロになると、血液の循環が悪くなり、しびれやコリが起こります。さらには、心疾患や脳疾患といった深刻な病気にもつながりかねません。

実は、血液の循環にも細胞膜の流動性が大いに関係しています。血管も細胞でできているので、オメガ3が適度に存在する柔らかい細胞膜ならば、血管もしなやかになるのです。また、血液細胞の一つである赤血球も、細胞膜が柔らかければ柔軟に変形できて、極細い毛細血管の中でも通りやすいように赤血球そのものが形を変えて、血液を行きわたらせることができます。このようにしてオメガ3は血液の循環を良くしています。

細胞膜が柔らかい赤血球は、非常に細い血管の中でも、柔軟に変形しながら通過する

「オメガ3」が血液ドロドロを改善 アマニ油摂取でLDLコレステロールが低下

血液のめぐりが悪くなっている・血液ドロドロというのは、一般的に血液中の糖質や脂質(中性脂肪やコレステロール)が増加している様子を指します。血液ドロドロの状態が続くと、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが増えやすくなり、動脈硬化をもたらしかねません。

現代人は、過食や動物性脂肪の摂り過ぎといった食習慣、運動不足や体重増加といったことから、血液ドロドロになっている人が多いようです。改善するためには、原因を取り除くのが一番ですが、オメガ3の摂取も役に立ちます。アマニ油の摂取を12週間続けたところ、LDLコレステロール値が有意に低下したという研究結果が発表されています。

コレステロールなどが溜まって狭くなった血管 コレステロールが多いと血液ドロドロに

アマニ油(オメガ3)によるLDLコレステロールへの影響

悪玉(LDL)コレステロール値が
有意に低下(グラフ)

【出典】 Kawakami et al. Nutrition Journal(2015)14:39 より抜粋し改変
【対象】血中のLDLコレステロール値が高め(平均133mg/dL)の健常な成人男性15名

*…プラセボとは、効果を示す成分が含まれていない、味や外見が類似のものです。


オイルなら「オメガ3」を摂るのも簡単!

「オメガ3」をより効果的に摂取する5つのポイント 手軽に摂れれば、継続できる

オメガ3は食べ物から摂る必要のある必須脂肪酸です。細胞や体のめぐりを整えて健康管理に役立つ、より効果的な摂取のポイントをご紹介します。継続して摂ることができるよう、自分に合う方法を見つけてみてください。

1アマニ油を加熱せずに料理にかける

α-リノレン酸が豊富なアマニ油やえごま油を使えば、オメガ3の摂取は簡単です。オメガ3は熱に弱く酸化しやすいので、炒め物等には使わず、できあがった料理に振りかけて食べます。

アマニ油を加熱せずに料理にかけるイメージ
2調味料を置き換える

マヨネーズやドレッシングなど、普段使う調味料にオメガ3を含むものを選ぶと、無理なく置き換えられます。 ※アマニ油、えごま油は熱に弱いので、加熱調理には向きません。

調味料を置き換えるイメージ
3魚の缶詰を活用

魚の缶詰もオメガ3摂取に有用です。いわし、さんま、さばの缶詰なら100g中のオメガ3量は2g以上、かつおを使った油漬けのツナ缶でも1.5g程度の含有なので、1日の摂取目安量をラクにクリアできます。

魚の缶詰を活用イメージ
4たんぱく質と一緒に摂る

オメガ3は、たんぱく質と一緒に摂るのがオススメです。たんぱく質を摂取すると胆汁が分泌されて、オメガ3の吸収が良くなることがわかっています。

たんぱく質と一緒に摂るイメージ
5オメガ3と6、黄金バランスは1:2

オメガ3の摂取は、同じ必須脂肪酸のオメガ6とのバランスが大切。現代人はオメガ6の摂取が多く、オメガ3:オメガ6=1:10~50ほどに、オメガ6に大きく偏っています。

両者には正反対の働きがあり、オメガ3が白血球を抑制して炎症を抑える一方で、オメガ6は病原菌などと戦うために白血球を活性化します。しかし、白血球が暴走すると血管なども傷つけることになるので、それを抑えるためにもオメガ3が必要なのです。オメガ3:オメガ6の黄金比は1:2です。

オメガ6は、大豆油やスナック菓子、お惣菜等にも使われており、減らすのは難しいかもしれません。オメガ3の摂取を増やすよう心がけましょう。

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